壇蜜が明かす驚きの過去「お金がなくて男性にすがる時期も」

壇蜜が明かす驚きの過去「お金がなくて男性にすがる時期も」
- 壇蜜は10代のころから、人が驚くような仕事をすると思っていたという
- 「私は、いうなれば『職業的ド変態』なのでしょうね」と告白
- 「お金のない頃、男性にすがっていた時期がありました」とも語った
30代の働く女性を中心とした読者を持つ女性誌『FRaU』と、現代ビジネスのコラボレーション企画が実現。仕事、おカネ、恋愛、オトコ…現代社会をサバイブするために考えなければならないことをテーマに、いま注目を集める3人の女性筆者による特別エッセイを公開します。
■自由とラクは違う
私はこれまでさまざまな仕事を経験してきましたが、人生の最初の転機は? と聞かれれば、中学生の頃に読んだ『自由と責任』という本を思い出します。とても難しくて、書いてあることを全て理解することはできませんでしたが、それでも、ものごとには必ず表と裏があること、その両極を俯瞰して捉える感覚をこの本から学びました。
私は中学高校を女子校で過ごしました。とても厳しい学校であれはダメ、これもダメという環境でしたが、あの頃の経験がなければ今の自分はなかった気がします。
なぜなら、「自由」の定義や解釈は本当に難しいことだから。自由を感じる前にある程度の不自由や理不尽にぶつかって、じゃあ不自由ってなんだろう、窮屈ってなんだろうと考えてみる。自由を感じる前にこうした経緯を辿るのはとても大事なことだと思います。
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しかも大人になると選択肢も増えるので、誰もがついラクな方、自由な方にいきがち。そんな時、違う方向にも目を向けるよう私たちを引き止めてくれるのは何か。
考えてみると、それって“面倒くさいもの”なんですよね。作法やしきたりとか、普段は面倒と思うものに目を向けることが、今の30代の女性には求められているのではないかと。
なぜか周囲は何かにつけ“大人でなきゃいけない”“でも女でなきゃいけない”“でも強すぎちゃダメ、弱すぎてもダメ”と言う。今の女性は自由だというわりに、世間から「こうあってほしい」と思われる内容はまだまだ窮屈ですから。肩肘張らず、意地を張らずに受け流すことも、自分の自由を守るために必要な不自由だと思うのです。
“自由のための不自由”をさらに実感したのが、水商売のバイトです。身ひとつの仕事で生きることが比較的むいていることは20代後半には自分でも分かっており、だからこそ、時給制やノルマありといった厳しいところばかり選びました。
何か一つくらい苦しいことがないと、糧を得ても何も感じられなさそうで、それが怖かったんです。人は絶対ラクな方にいってしまうし、でも自由とラクは違いますから。
もちろん私も若い頃は、自由にラクして自分を表現したいなどと考えておりました。でもそのためには才能や長年の積み重ねが必要で、自分にはそれが徹底的に欠けていた。
では自分にできることは何だろう、これしかないと思えるものはと考えて辿り着いたのが、遺体を扱う仕事と、自分が裸になることだったんです。
■私は“職業的ド変態”
結局のところ、私はずっと見ないフリをしていたのでしょう。16、17歳の頃にはすでにきっと自分は、人が「えっ?!」というような仕事に活路を見出すのだろうと、気付いていた気がします。でも、親が悲しむと思うと絶対に伝えられなかった。そんな不自由をしばらく抱えていたものです。
私は、いうなれば“職業的ド変態”なのでしょうね。苦しいことも身ひとつで稼ぐことも、私の中では全部同じ箱に入っていて、人に後ろ指をさされても、まあお金入ってくるし、と、くよくよせずにいられる。
そういった、職業に対する変態性みたいなものこそ自分の強みと自覚していますが、それに気付くのには10年以上かかりました。どんな仕事もすぐには自由になれないし、転職はすればするほど境遇が悪くなると覚悟していなければなりません。いくつもの職を経験してきた私ですが、やはり必ずしも転職=ベターとなる……ではないんですね。
職を転々としながら恋を育み、そして失い……、長年“男を変えてカギ変えて”といった暮らしでした。29歳で芸能事務所に入った時も、それまで3年ほど付き合っていた方とお別れをしまして。抱えるものが多すぎたのです。
恋を失えばどれほど仕事したって誰も悲しまない。だったらすり減るまでやってみようと、芸能事務所に水商売、大学病院の助手と、3つの仕事をいっぺんに決めたんです。遺体に触れた後に漫画喫茶でシャワーを浴び、それから水着の仕事へ、といった生活を3年ほど続けました。
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よく、それで得たものあるんですか? と聞かれますが、徹底的に大変な状況に身を置いたことは今の土台になっていると思います。あとは、“バニーガールの衣裳のしっぽは、乾燥機に入れると半分くらいに縮む”と学んだことくらいでしょうか。働き過ぎで、ほかは何も覚えていないんです。
事務所に入ってからも、自分が売れるかもなんてまったく思っていなくて、まあ3年くらいが潮時でヌードやってもう使えないと追い出されて、その頃にはバニーガールの仕事も辞めさせられるだろう。そうしたらまた新しいことをして生活していこうかな、などと考えておりました。
なんとでもなるというか、実際なんとでもなってきたし、自分でそうしてきたという自負もありましたね。一日で大金を動かすわけでも、多くの人に感謝されるようなこともないけれど、それでも誰かから必要とされる仕事をしていて、今はそれで生計が成り立っている。その事実だけが私の支えでした。
また一方で、家での家事とか、人に感謝を伝えるために書く手紙とか、人としてきちんと生きることを守らないと、こういう働き方はむつかしい。私にとって、家にいる時間は、過去と向き合う時間。自分自身のフィードバックとなる部分で、家事にはその最大の核があると思っています。
よく掃除ができない、片付けられないという悩みを聞きますが、掃除と片付けは違うかと。片付けは私もそんなに得意ではなくて、五芒星を書いてこんまりさんを召喚して助けてもらわないといけないレベル。
でも掃除は目の前のホコリをとったり、落ちているゴミを拾ったりするだけのこと。今よりきれいにしてみてといったらだいたい誰でもできます。そういえば、ある銀座のママに「家事ができない人はHがヘタ」と言われ、ドキリとしたことも……。
■汚れてみないと先に進めない
ほかに自分を取り戻す時間といったら、手のかかる生き物を飼い、その世話をしている時でしょうか。ウチはナマズと猫。考えてみると、ヒモを養っている女性ってたいがいきちんとしているんですよね。人間の場合は血縁ではない方が良いようです。
そもそも、人は大人になると、一人では見えないことが増えてきます。ペットは存在としてはか弱いものですが、世界を見渡すためのフィルターとしては強者です。まあ、ヒモはおすすめしませんが。
これはあくまで個人的な意見ですが、人が独りで生きていくということは、やっぱりむつかしい。相当な準備と覚悟が必要な気がするのです。
それは以前、独身の女性たちが主人公のマンガを読んだ時にも感じました。そのマンガでは、出会った男性と些細な齟齬で別れたり、内気な性格が原因でチャンスを逃したりと、共感を呼ぶとされる部分は全部ネガティブ。ふとしたことで知り合った男性とワンナイトラブ、なんてシーンはもちろん一個もありません。
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30代の女性は成功しちゃダメなのかしら。そんなに1人でいなきゃダメですか? 最近は「おひとりさま」なんて言葉が浸透して、“女も1人で生きれなきゃ”といった啓発をよく耳にします。でも、世の中の流れと逆のことをするのも、ある意味自由ではないでしょうか。
私はSNSとやらをやらないのであまり詳しくないのですが、先日見たTV番組で、「SNSのアイコンが水着の女は下品」という話をしていました。ようは“水着の写真で男を誘っているのがみっともない”ということなのですが……。
確かに「えっ」とは思いますが目的があって、いいことが期待できるなら……いいのかなって。それに「出会いがない」と悩む人は多いですが、それって“水着アイコン”的なことを今まで遠慮し過ぎていたからでは、とも思うのです。
自分を大事にするのは素晴らしいことですが、その逆の時間を持つことも、絶対に必要。目の前のチャンスにはとりあえず身を投じてみるといった“修業期間”を、皆さんは持ったことがあるでしょうか。そこでの失敗は必ず自分の厚みになりますし、もし現状に不満があるのなら、少し「汚れる」ようなことでもしないと先には進めないと思うのです。
出会いを増やしたければ、何かしら行動しなくてはいけません。派手なスタイル、誘うような文句……、ちょっと恥ずかしいと思うことも、試しにやってみてはいかがでしょう。大丈夫、別に私の袋とじみたいなことをやれというわけじゃないんですから!
■日記で妄想力を育む
修業期間とは異なりますが、私もお金のない頃、男性にすがっていた時期がありました。もう嫌、もう嫌と思いながらも別れられなかったのは、その方がラクだったから。
それでもある日、彼から「もし僕が浮気をしたとしても、それは君の価値が下がったせいだからね」と言われ、ああ、もう無理だ、と。当時、彼に貰ったアクセサリーや化粧品をとても大切にしていたのですが、それらは全て彼の家に置いて帰ってきました。
その頃の私は本当にお金がなかったので、自宅にたまたまいた祖母に2000円を借金して、ドラッグストアへ。借りたお金でプチプラコスメを買い揃え、100円ショップのポーチに入れたら、「大丈夫、これだけあればいける!」と思えました。
私は本来、自分の手でお金を生み出したい人間だったよなと、改めて気付けたんです。あ、2000円は翌週に返しましたよ。
それ以来、お付き合いする男性は私が食べさせるくらいの人が理想。「蜜さんのところにお婿へ行けて本当によかったわねえ」と彼の両親に泣かれ、そこへ私が「お義母さん泣かないで、ヨシオさん(仮)の面倒は私が」と返す……。そんな将来を妄想しては、ほくそ笑む毎日です。
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自分でも笑っちゃうようなおかしな妄想力ってとても大事ですね。日記も妄想力を育むツールの一つ。日々を記録する力がつけば、今ある問題が徐々に見えて、妄想したり、解決できる気がするから。
なので日記は、今悩みがあるという方にもオススメです。すごく悩んでいる人や日常に不満がある人って、意外と一昨日の晩ごはんを覚えてなかったりするんですよ。
洞察や注意力はトレーニングがいりますが、記録は誰にでもできます。啓発的なことはいらないのでその日あったこと、思ったことをそのまま書くのがコツです。
そしてこれはエゴグラム診断の第一人者の方に教わったのですが、大切なのは100、200と文字数を決め、100点満点でも星3つでもなんでもいいので、とにかく点数をつけてその日を評価すること。最初はわからなくても、だんだんと自分の基準と心の流れが摑めるようになるそうです。
30代の女性が抱える悩みには、相手がいるものも少なくないはず。人の心はコントロールできませんから、相手が動いてくれるのをひたすら待つだけの毎日って本当に辛いと思います。
待つことがダメとは思いません。ただ、自分が思考停止しないための何かを探してほしいと思います。待ちながら、自分が納得できる理由を見つけるのは自由です。それで待つ時間が短くなったり、いっそ待たなくてもいい選択肢ができたら素敵ですよね。
普段着の壇蜜が送る一年の記録。四季折々の写真も多数収録! 誰にも見せない素の壇蜜は、季節を感じてこんな風に暮らしています。
壇蜜(だん・みつ)1980年秋田県生まれ。銀座のクラブホステス、冠婚葬祭業など様々な職業を経験した後、タレント、女優としてデビュー。その後、鋭い視点と卓越した文章力で綴るブログが話題になり、著述家としても人気を集める。著書に『壇蜜日記』『壇蜜歳時記』他多数。
引用元:http://news.livedoor.com/article/detail/13053338/
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